食品に使用、あるいは原材料に含まれている食品添加物は、食品表示法により、原則として商品の容器包装に表示するように定められています。
しかし、一部例外があり、「キャリーオーバー」と呼ばれる食品添加物は表示の省略が認められています。
今回は、キャリーオーバーとはどのようなものか、また関連する問題点について解説します。
表示の省略が可能なキャリーオーバーとは?
キャリーオーバーとは、食品の原材料の製造や加工に使用されるものの、次にその原材料を用いて食品の製造をする際には使用されない食品添加物で、最終的な食品では微量となり、その食品添加物の効果を示さないものを言います。
具体例)
1. せんべいの味付けに使用されたしょうゆの中に含まれる安息香酸(保存料)が、最終的なせんべいにおいて保存料としての効果を持たない場合。
2. クッキーの原料として使用されたマーガリン中の乳化剤が、最終的なクッキーにおいて乳化剤としての効果を持たない場合。
キャリーオーバーの条件
キャリーオーバーの条件について、厚生労働省では次のように定義しています。
①原材料(食品食品添加物を含む)に対して食品添加物の使用が認められている。
②その量が許可されている最大量を超えていない。
③食品が、原材料より持ち越される量より多量の当該食品添加物を含有しない。
④持ち越された食品添加物の量が食品中で効果を発揮するのに必要な量より有意に少ない場合[1] 。
これらの条件が満たされる場合、キャリーオーバーに該当する食品添加物を製品ラベルから省略することができます。
添加物の記載をしなくても良い為商品価値の向上に寄与できるといえます。
表示省略が認められないケースについて
ただし、すべてのキャリーオーバーの表示が免除されるわけではありません。以下のようなケースでは表示が必要です。
① [2] 五感に関わる食品添加物の使用
香料や着色料などの五感に訴える性質を持つ食品添加物は、最終的な食品の味に効果を与えるため、微量であってもキャリーオーバーとは見なされません。同様に、調味料(アミノ酸)や甘味料(カンゾウ)もキャリーオーバーに該当せず、表示が必要です。
② [3] 特定原材料8品目に由来する食品添加物の使用
特定原材料8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ))由来の食品添加物が使用されている場合、特定原材料としての表示が必要です。
キャリーオーバーの問題点
キャリーオーバーについては、いくつかの問題点が指摘されています。
キャリーオーバーの定義には「最終食品中に微量で、効果が発揮されない場合」とあり、具体的な数値の規制がありません。食品添加物をキャリーオーバーとして取り扱うか否かは食品メーカーの判断によるところがあります。
キャリーオーバーに該当する食品添加物の表示をしなければ、消費者は実際、当該食品添加物が微量に含まれていることがわからず、入っていないものと誤認する可能性があります。
まとめ
キャリーオーバーは、例外を除き、添加物表示が免除されます。消費者が原材料に使用された食品添加物の全てを知ることは、難しく、微量ながらも食品添加物を口にしている可能性があります。食品関連事業者側は積極的な情報提供を心がける努力が必要になるでしょう。
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執筆者
管理栄養士:横川仁美
食専門ライター×Nadiaアーティスト(料理研究家)
保健指導を中心に述べ2500人の食のアドバイスに携わる。食事・栄養・食材のコラム執筆・監修、レシピ作成を中心に活動、薬機法・景品表示法・健康増進法・食品表示法の知識を活かし、企業の記事作成や商品オリジナルレシピ開発に携わる。
ホームページ https://yokokawa-hitomi.com/
<参考文献>
(全データ2023/08/25参照)
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