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執筆者の写真サービス フードガイド

【輸入食品】食品添加物とポジティブリスト制度の対応方法を解説

更新日:5 日前


【輸入食品】食品添加物のポジティブリスト制度と対応方法を解説

■本記事で分かる事

海外から食品輸入をする際にかならず確認しておきたい「食品添加物」と「残留農薬等ポジティブリスト制度」について解説いたします。


また対応方法、輸入食品ビジネスを成功させるポイントについてもご紹介します。


■目次





Q食品添加物の指定制度とは?ポジティブリスト制度とは?


A.結論→どちらもリストに入っている物質以外は原則として使用NGとする制度


ポジティブリスト制度とは、食品衛生法において残留農薬等からの食品の安全性と品質を確保するための制度です。


食品衛生法にもとづき厚生労働大臣が指定した添加物(指定添加物)だけを原則として使用できる制度です。指定添加物以外にも既存添加物・天然香料・一般飲食物添加物の使用が認められています

どちらも、食品に使用できる添加物や在留薬等の物質がリスト化されており、リスト以外の物質の使用を制限または禁止されています。

食品添加物イメージ

ポジティブリスト制度の対象と基準値は?

ポジティブリスト制度では、生鮮食品や加工食品を含むすべての食品が対象となり、物質では、農薬・飼料添加物・動物用医薬品が対象となります。

 

ポジティブリスト制度で設定されている基準値は、食品衛生法に基づいて食品や物質ごとに異なり、それぞれに設定された基準値以内であれば食品に含まれていいとされています。しかし、ポジティブリストに記載されていない物質については原則禁止されています。



添加物の対象と基準値は?

食品添加物には成分規格や使用基準がさだめられており、基準値を超えて流通・使用することが禁止されています。

成分規格の対象は食品添加物そのもの、使用基準の対象は食品添加物を使用したすべての食品で、規格や使用基準は食品添加物や食品ごとに異なります。

■添加物使用基準まとめデータ群/日本食品化学研究振興財団

※引用元日本食品化学研究振興財団の食品添加物のページリンクはこちら


食品輸入禁止イメージ

違反した場合のリスク

基準値以上の物質やポジティブリスト外の物質が検出されるなど、食品添加物ルールやポジティブリスト制度に違反した場合には、以下のようなリスクが考えられます。

  • 輸入・販売の禁止:基準値を超えていた物質が検出された場合、その食品の輸入・販売が禁止されるリスクがあります。

  • 廃棄・返送:食品衛生法違反となった場合は、日本国内での流通ができないため廃棄または返送を命じられることがあります。

  • 信用失墜につながる:企業としての社会的な信用がなくなる恐れがあります。

  • 刑事罰:故意に違反食品を輸入した場合、刑事罰に課せられることがあります。


このようにポジティブリスト制度に違反した場合は多くのリスクがあります。

具体的なポジティブリスト制度への対応方法を、輸入前と輸入時に分けて解説します。


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ポジティブリスト制度への対応方法

成分分析イメージ
  1. 成分分析をする【輸入前】

食品輸入のポジティブリスト制度対応方法として、まずは事前の成分分析をおすすめします。

輸入前の段階で成分分析をおこない、ポジティブリスト制度に適合するか確認しましょう。

基準値が設定されている食品や物質について、その基準値内におさまるかが重要なポイントです。

成分分析は検査機関に依頼するのがおすすめですが、輸入食品の検査実績のある機関に依頼できると心強いでしょう。

※ポジティブリスト制度以外にも食品添加物や食品表示など、輸入食品を国内で流通する際の確認事項は多くありますので、この時点であわせて確認するようにしましょう。


必要書類イメージ
  1. 必要な書類を準備する【輸入前】

成分分析等の事前チェックで問題ないことが確認できたら、輸入食品を販売するために必要な書類を準備して対応します。たとえば以下のような書類になります。


  • 輸入届出書

 食品衛生法に基づき輸入時に検疫所に提出する書類で、食品輸入の届出になります。

  • 原材料及び製造工程に関する説明書

 輸入食品の詳細が記載された書類で、こちらも輸入時に検疫所に提出します。

  • 成分規格書

 食品の成分や規格を記載する書類になります。

  • 残留農薬検査成績書

 ポジティブリスト制度の対象となる農薬等について、基準値以下であることを証明する書類で、残留農薬の検査を依頼した機関から取得することができます。

  • 原産地証明書

 輸入食品の原産地を証明する書類です。輸出国の発給機関から取得しましょう。


上記にくわえて、食肉・食肉製品・フグ等については衛生証明書が必要となります。

このように個々に必要な書類は異なりますので、不安な場合は検疫所に確認するといいでしょう。

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  1. 輸入届出の手続きと検疫所による検査【輸入時】

上記①②の準備ができたらいよいよ輸入段階です。食品輸入時の対応方法として、準備しておいた輸入届出書を検疫所に提出し輸入手続きをおこないます。

届出をおこなう前に輸入食品が日本に到着した場合は、税関から連絡をうけた検疫所から通知がきますので手続きをおこないましょう。

輸入届出がされると、検疫所による書類審査・現物検査・精密検査などがおこなわれます。


検疫所では届出書に記載されている輸入食品情報をもとに、主に以下の点が確認されます。

・食品衛生法に反しないか

・添加物使用基準に反しないか

・有毒有害物質の有無

・製造者・製造所において過去に食品衛生上の問題がなかったか


このような検疫所の審査で不合格になると国内での販売がむずかしくなりますので、輸入前①②の段階でしっかり確認しておくことがポイントとなります。



日本食品の輸出入イメージ

国内外での最近の動向

以上のように、国内では食品安全のために食品添加物ルールやポジティブリスト制度による厳しい規制があることがわかりましたが、国外ではどうでしょうか。

食品輸入ビジネスの成功ポイントとして、国内外での食品安全についての動向についてもご紹介します。


食品安全についての国際的な動き

世界各国で食品安全についてさまざまな規制がありますが、中でも残留農薬や食品添加物などについては、国際的な基準をさだめる動きが活発です。

国際機関である「コーデックス委員会」では、食品の安全性と品質についての国際基準をさだめており、各国の食品基準は国際基準と調和するよう推奨されており、日本でも取り入れられています。


国内の食品安全対策

日本国内では食品衛生法を基本として、食品の安全性を確保するために様々な決まりがあります。ポジティブリスト制度もそのひとつで、近年では食品用器具や容器包装についてもポジティブリスト制度が導入されました。今後、国際的な動向や科学の進展によって新たな知見が得られることで、こうした取り組みは強化していくと予想されています。


食品輸入ビジネス成功のポイント

このような国際的な動きがあるなかで、食品輸入ビジネスを成功させるためにはどのような対策が必要でしょうか?食品輸入ビジネス成功のポイントをお伝えします。

専門家連携イメージ

専門家との連携

食品輸入ビジネスでは海外の食品をあつかうため、外国で使用が認められている物質が国内ではNGである場合があります。また、使用できる食品添加物であることの確認や、食品表示も国内向けにつくりなおさなければいけません。

このように食品輸入ビジネスでは様々な注意点がありますので、専門家との連携が成功のポイントとなります。

食品輸入ビジネスのプロである専門家と連携することで、輸入時の法規制や手続き、物流や市場動向などについて最新のアドバイスを受けることができるでしょう。また、食品輸入の際のトラブルなど困ったときに相談できるのが、専門家と連携した場合の強みとなります。


最新情報を収集しましょう

食品輸入ビジネスを成功させるためには、つねに最新の情報を収集することもポイントです。食品業界の動向はめまぐるしく変化しており、改正される法規制や流行のある市場ニーズに合わせて対応していきましょう。最新トレンドワードをご紹介します。


最新トレンドワード

ウェルビーイング食イメージ

ウェルビーイング食

食のウェルビーイングとは、心と体の健康を基にして、より自分らしく生きることを食品や食事でサポートする動きです。

従来の機能性やエビデンスを全面にだした健康食品に代わって、次の段階のトレンドとして「ウェルビーイングな食品」が注目されています。

たとえば、食事自体を楽しんだり、人や自然とのつながりを感じられるなど、自分や周りを幸せにするための消費を後押しするような食品ビジネスが求められています。

腸活・腸育商材のイメージ

腸活・腸育

腸内環境をととのえる活動として「腸活」が引き続きトレンドですが、腸内細菌のバランスは子供のうちにある程度きまるので、子供のうちから腸活をおこなう「腸育」というトレンドワードもあります。

腸活・腸育では腸にいい生活習慣をすることに加え、腸内細菌が増えるような食品を取り入れます。

乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルト等の発酵食品を取り入れることを「プロバイオティクス」といいますが、腸内細菌を育むには十分ではありません。

そのため、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を取り入れる「プレバイオティクス」もおこないます。

これらを組み合わせて同時に取り入れる方法が「シンバイオティクス」です。たとえば、ビフィズス菌入りヨーグルトに、ビフィズス菌のエサであるオリゴ糖が含まれるバナナを合わせる等になります。

有用な菌が入った食品だけでなく、菌のはたらきを補助する食品や食品成分が続々登場しています。



食のインクルージブ化イメージ画像

食のインクルージブ化

インクルージブ化とは、多様な背景や個性をもつ人々が排除されず、たがいに認め合い共生していくことを目指す社会の在り方のことです。

食品では、アレルギー・摂食嚥下障害・宗教・思想など多様化するニーズに対応する食品が当てはまります。

年齢や上記のような垣根を越えて、同じ食卓で同じ食べ物を楽しめる工夫がされた食品が求められています。



最後に

ポジティブリスト制度や食品輸入ビジネスについて解説しました。最近の動きなどもおさえながら、食品輸入ビジネスを進めていきたいです。

食品輸入についてお困り事はフードガイドサービスにご相談ください。

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▼参考資料:

輸入食品等関係参考情報

ポジティブリスト制度施行後の 状況および今後の対応について https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20061206ik1&fileId=002

輸入検査 | (一財)日本食品分析センター

輸入食品等関係参考情報

ポジティブリスト制度に関する周知について https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20051013sfc&fileId=114



▼筆者情報

筆者/内藤知佳

内藤知佳

ペットフード安全管理者、管理栄養士、中級食品表示診断士。食品メーカーでの企画開発経験を活かし、現在はペットフードの企画開発を中心に、表示作成の業務を担当しています。

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