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執筆者の写真サービス フードガイド

【紅麹問題】機能性表示食品の法改正において製造事業者がすべき対応は?【機能性表示食品/法改正まとめ】


【紅麹問題】機能性表示食品の法改正において製造事業者がすべき対応は?【機能性表示食品/法改正まとめ】

はじめに

 紅麹原料を含むサプリメントの健康被害を受けて、内閣府の消費者委員会は食品表示基準の一部改正が適当であると結論づけました。どのように改正されるのかの変更内容と、改正によって事業者が対応しなければならない事について、食品表示についてサービス提供をしている筆者が解説していきます。


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①健康被害情報の報告義務

 機能性表示食品の届け出事業者(製造者・販売者・輸入者)は、因果関係の強弱にかかわらず、その食品を飲食した人が医師から診断を受けた際は、健康被害情報を消費者庁などに報告することが義務づけられました。これは、何らかの健康被害が生じた時の初期対応を迅速に行うためで、健康被害の拡大を防ぐことが目的です。こちらについては2024年9月から施行されます。


②製造管理の適切化と報告義務

 カプセルや錠剤などのサプリメントを製造加工する工場では、「適正製造規範=GMP」に基づいた製造管理が求められます。GMPとは製品が安全で一定の品質を保たれるように定められたシステムで、これまで日本では主に医薬品に対して用いられている制度でした。このシステムを、サプリメントにも適用させるというものです。(HACCPが衛生安全を向上させるシステムであるのに対し、GMPは品質安全を向上させるシステムとなります。)

 また、成分の安全性や有効性について、新たに化学的知見が得られた場合には、消費者庁に報告する、こうした製造管理体制が適切に整っているかを自己チェックし1年ごとに報告するといった内容が義務づけられました。

カプセルや錠剤などサプリメントイメージ

③表示文言の厳格化

 これまでは任意とされていた、容器包装見本の提出が届け出時に必須義務となります。これは、容器包装に表示されている文言が適切かどうかを確認するのが目的です。

 そもそもこれまでも、機能性表示食品における適切な文言についてはガイドラインにて明記されていました。ですが、ガイドラインは法的強制力がないためパッケージのデザインやスペースなどを優先することにより、二の次になっている状況が合ったのも事実です。

 今回の改正により、文言の不備や違反があると届け出が受理されない、商品の回収や機能性食品としての認可から外れるといった罰則対象となり得ます。

 では、どういった表現だと不適切となってしまうのでしょうか。例をもとに説明します。


【サプリメントパッケージ例】


機能性食品表示改正前と改正後比較

 こちらは、ルテインを含む機能性表示食品のサプリメントです(実在する商品ではありません)。

これまでは[改正前]のようなパッケージと文言で製造・販売していましたが、今後は違反対象となります。


A:断言した表現の禁止

 パッケージ表面、商品名の近くに訴求点として表示していた「目の疲れを軽減」という文言。改正後は、例えば「ルテインには目の疲れを軽減させる機能があります」というような表現をする必要があります。


B:注意喚起の具体的な記載

医薬品や他の機能性成分などと一緒に食べる事による相互作用や、過剰摂取防止のための注意喚起を具体的に記載する必要があります。

GMP遵守や表現遵守の義務については2026年8月までを猶予期間とし、9月から完全施行となります。


事業者の対応

 上記のような項目が義務として食品表示基準に明文化されることになります。今回の改定は初期土台となるもので、これらを実施した上で更に見直しが進められる予定です。また、機能性表示食品に限らず、健康被害情報の報告やGMPによる品質管理の義務はトクホ(特定保健用食品)でも同様に運営していく方向です。

 そのため、届け出事業者は多くの対応を求められることになります。この中でも表示文言については、これまでの製品全ての確認と不備にあたる文言の適切化、これからの新商品ごとにも適切な表示の作成が求められます。デザインも考慮した上での表現となると、はたして「この文言は違反となってしまわないか」、「こちらの表現は使って良いのだろうか」と迷われる場面も多くなるでしょう。輸入食品にいたっては、日本語訳を行った際に実は不備となる文言となっていた、と言う可能性もあります。

輸入サプリメントイメージ

■製造者としての対応は?正しい見解と対応方法・後援について

フードガイドサービスでは、これまでもガイドラインを遵守した表現を提示・勧めており、今回の改正以前から適切な表示を行っております。今回を機にパッケージの表示見直しや作成をされる事業者様は、お困りの際にはぜひ一度ご相談をいただければと存じます。


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まとめ

 今回の食品表示基準の改正により、機能性表示食品の届け出事業者は製造環境・パッケージの表示・円滑な報告のフローなど多くの対応が求められます。年間約7,000件の届け出が出されている中で、スムーズな届け出受理が行われなければ流通ラインに乗せるにも時間を要することになります。

 どのような内容が義務づけられたのかを正しく知り、適切かつ正確な対応を行うことで、いち早く安定した製造販売環境が整うことにつながります。




 



フードガイドサービス質問箱


■執筆者

塚狭智美

上級食品表示診断士/塚狭智美

■資格

・上級食品表示診断士

​・管理栄養士、栄養士・調理師・幼児食アドバイザー・食生活アドバイザー

■経歴

集団調理に管理栄養士として長年勤務​

その後栄養士養成学校・調理師養成学校にて食品表示、幼児食、栄養学の分野で教鞭をふるい10年以上のキャリアあり。

地方自治体の食品提供イベントの運営、

企業・個人店舗の食品コンサルの経験多数あり




参考:紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応

   


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